初めは不慣れな部分もあり、立ち上げの際は試行錯誤の繰り返し。さまざまな植物の扱いから管理方法、品揃えや売り場づくりまで、この高島でグリーン雑貨店として運営していくには何が必要なのか、など正解がわからず苦労もありましたが、いろんな方にサポートしていただいた5年間でした。
やはり集客が難しかったです。HAARUは、道路に面した立地でもなく、通りがかりで見つけていただけるようなお店ではないので、こちらから発信していかないと新規のお客さまとは出会えません。そのためにSNSを更新したり、イベントを定期的に開催するといった工夫はしました。
おかげさまで年に4回やっているイベントでは、小さなお子さまから年配の方まで幅広い年齢の方が来てくださり、認知度は年々増していると感じています。SNSでも「HAARUさんで買いました」や「HAARUさんの植物をいただきました」などと投稿してくださる方も多く、反響もあるので広がりを実感しています。

部屋に植物を置いたからといって、日々の暮らしがガラッと変わるわけではないですが、小さな物でも良いので「一つ暮らしに取り入れて見ませんか？」という提案をしています。お店の名前「HAARU（ハアル）」も「葉が一つそこにあるだけで暮らしが豊かになる」という意味を込めています。
私自身の家も植物を取り入れたことで、子どもたちが置いている空間を意識してきれいにしたり、飾るための工夫を考えるので、まず置くことによって自分たちの気持ちが自然と変わっていきます。毎日の水やりや観察など、生活の中で今までなかった作業や気づきが生まれるということも魅力の一つです。
また、来店されるお客さまの大半は、商品を相談して決めたいとお思いです。そのため、暮らし方や性格、置きたい場所などを伺いながら、どういった植物が一番良いかを一緒に考えてご提案しています。リラックスできる店内で座りながら、いろいろとお話をしたうえで購入いただくことで、相談しやすい関係性を築き、ご購入後の不調など、何かあった際もこちら側で推測できる可能性をご提示するようにしています。

私たちは植物を、子どものように思っています。植物は生き物であり、それぞれ個性や育ってきた環境も違います。四季によるお手入れはもちろん、毎日の水やりや、温度管理など細やかなお世話は欠かせません。お店で一定期間お手入れして育てることで、お家の環境と近い状態でお渡しできるので、お客さまにも安心して育てていただきやすいと思っています。
わからないことは一緒に考えて勉強させてもらったり、詳しい方に聞いて回ったりしてその都度解決していました。「こういうふうに考えられるんだ」「こういった点を気にされるんだ」など、お客さまからご質問をいただく中で深掘りしていき、お客さまと共に成長できたと思います。
お客さまがどの植物を購入して、連れて帰ってくださったか覚えているスタッフが多く、次に来店いただいた際にも話題の提供や追加の提案がスムーズです。

去年から強化しているのですが、お店でのワークショップを定期的に開催し、回数をもう少し増やしていきたいと思っています。お客さまと一緒に物を作る時間にすごく充実感を感じていて、いつもやってよかったなと思えます。遠方から来てくださるお客さまもおられ、ご来店のきっかけになっていることがうれしいです。
ワークショップでは、その時期の旬や季節の物を取り入れています。クリスマスツリーやリースを作ってみたり、お正月のしめ縄を作ってみたり。参加される方とお話ししながら説明したり、植物に触れてみたり、お客さまとのつながりができて、良い場所になっていると思います。
他には、高島の地域でギフトに選んでいただく回数も増えているので、「植物を贈るならHAARU」と思っていただけている印象があります。お店のオープンに合わせてご相談いただくことがすごく多いですね。この方向性をもっと広げて、次はオフィスのお客さまにも植物やフェイクグリーンを取り入れていただき、グリーンがあることで空間の印象が変わる、と感じる体験をつくっていきたいです。